現地(にいない)特派員
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先に言ってしまうと、この映画、最後はみんなそれぞれ欲しいものを手に入れてメデタシメデタシみたいな結末を迎えます。何だかうまく丸め込まれたような気がするけど、でもみんなハッピーだしよかったんじゃね、みたいな。
結末のネタバレってすごいな。楽しむのに影響はないのでよしとしますが。
そこに至るまでのゲスさとか、各登場人物の身勝手さとか、不謹慎ネタを楽しみましょう。
主演を務めるのは「ミュンヘン」「ハルク」(2003年版)で知られるイケメンおじさんのエリック・バナと、英BBC版「The Office」で英国中から嫌われた上司・ブラント役を務めたリッキー・ジャーヴェイスの英・豪コメディアンコンビ。リッキー・ジャーヴェイスは監督・脚本もやってます。
エリック・バナは、とにかく口だけはよく回る、007気取りの器のちっちゃいリポーター・フランクを、リッキー・ジャーヴェイスは妻に愛想を尽かされるしょぼくれた中年音響技師・フィンチを、それぞれ好演。(ずっとmaxellのTシャツ着てるのが愛しい)
そして見所は、主演の二人を差し置いて、リッキー・ジャーヴェイスの妻役、ヴェラ・ファーミガですよ。夫に、50にもなって現場仕事なんて、1LDKのアパートなんて、私はもっとビッグなことしたいの、とお前もそれはどうなんだ的な上昇思考を持つ美しい妻を演じます。
嘘を重ねた結果、夫は現地テロリストに人質に取られてしまう(いや嘘なんだけど)わけですが、その夫の境遇を踏み台に、ヴェラ・ファーミガは米国中に顔を売り、お金を集め、どこまでもどこまでも登り詰めていきます。
いい汗を流し、生き生きと歌うヴェラ・ファーミガ。
その姿は最低だけど、爽快。
生き生きしすぎて、誰もヴェラ・ファーミガ演じる最低な妻を嫌いになれない。
もはやこの映画はヴェラ・ファーミガのためにあるんじゃないか、そんな気持ちになってくるレベルで出張ってきます。妻。
ちなみに映画の唯一の良心、現地(にいるはず)の2人を心配し続ける局員を演じるのはケリー・マクドナルド。白熱の現地リポート(捏造)で数字が取れて小躍りする上司を演じるのはケヴィン・ポラック。
お菓子でも食べながら、洗濯ものでもたたみながら、ムダに(そして地味)に豪華な俳優陣と共に、お気楽にこのバカバカしくも爽快なコメディを楽しみましょう。
『現地(にいない)特派員』予告編
内容・あらすじ
ビッグな成功を夢見る、ローカルラジオ局のレポーター&音響担当。エクアドルの戦場の現在<いま>を伝える番組の最前線レポートは、NYのスタジオで捏造された真っ赤な嘘!リッキー・ジャーヴェイス&エリック・バナ主演、Netflixオリジナルコメディ