ゲットダウン
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エグゼクティブプロデューサーを務めるバズ・ラーマンが監督を務めたとあって、第1話は過去のラーマン作品を詰め込んだようなスタートダッシュ。
ブロンクスの街並み、クラブやディスコ、障害を抱えた恋愛劇。
これらが、『ダンシングヒーロー』のギラギラ感、『ムーラン・ルージュ』の華やかさ、『ロミオ+ジュリエット』の荒廃感のエッセンスを効かせまくってテンポよく展開する。
シビアな現実を、きらびやかな映像とロマンチシズムで見事にエンターテイン!
特に、文才に恵まれた主役のジーク(ジャスティス・スミス)が書く甘い文学的なポエムは、原作のセリフをそのまま使った『ロミオ+ジュリエット』を思わせる。
彼が紡ぐ言葉が恋人アイリーンへの愛情表現となり、ヒップホップのライムとなり、ストーリーを引っ張ってゆく。
設定が設定だけに、お約束の白い粉や銃、死体遺棄といったドラマチックな黒いエピソードが踊るものの、不思議とドロドロっぽさは感じられなく、ヒップホップが生まれた環境のファクターとして機能している。
さらに、「ファンタスティック・フォー プラス1」と自称するヒップホップチームを結成する5人の少年たちのキャラ立てが魅力的。
DJを担当するシャオリーン(シャミーク・ムーア)はブルース・リーに傾倒している設定で、そのスタイルとマーシャルアーツを取り入れた登場シーンには目を奪われる。
グラフィティ・アーティストを演じるジェイデン・スミスは、なんとゲイ・ワールドへダイブ。
対する、大人勢もピリッとしたキャスティング。
政治権力を操るアイリーンの叔父を演じるのは、『L.A.ロー 七人の弁護士』のジミー・スミッツ(懐かしい!!)。
でっぷりと変化した体格同様に腹の座った彼の演技が、このドラマの格を上げている。
劇中のラップを書き下ろした音楽プロデューサーのナズ、ヒップホップ界の重鎮グランドマスター・フラッシュなど、参加アーティストの豪華さがわからない私でさえ、ライブシーンには引き込まれる。
でもやっぱり、どこまでもキュートなのだ!
このドラマにハマるフックは枚挙に暇がないけれど、根底に「愛」がぶっとく流れていることがすべての真実。
光を求め続ける力に溢れた6話。
パート2が待ち遠しい。
内容・あらすじ
1970年代、ブロンクス。文才に恵まれた高校生ジークはナイトクラブでグラフィティ・アーティストのシャオリーンと出会ったことを機に、仲間たちとヒップホップチームを組むことに。 一方ジークが恋い焦がれるアイリーンは牧師である父に反対されながらも歌手になる夢を捨て切れないでいた。 時を同じくして、彼らが暮らす街では市長選が近づいていた…。