プリーズ・ライク・ミー
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スキニーな身体に皴っぽい童顔。イケメンじゃないけど感じよくオシャレで料理好き(特にお菓子)。冒頭では、付き合ってた彼女に「だって、ゲイでしょ」とフラれてしまう。
これが、本ドラマの主人公ジョッシュ。
彼を中心に、元カノのクレア、優柔不断でオタクの顔して案外女にだらしないルームメイトのトム、躁鬱を患うジョッシュのママ、離婚した父とそのパートナー。さらにジョッシュの新カレたちが加わって日常が繰り広げられる。日常といえども、ちょっとした事件めいたものが起こるわけで。
それらの出来事は、あまたあるコメディや青春ドラマとさして変わったものではないが、彼ら登場人物たちの「足りてない感」が魅力的なのだ。
たとえば主人公のジョッシュは20代後半になっても学生を続ける、いわゆる「ゆっくり大人になります」タイプ。父親からは「そろそろ働け」とコーヒー屋台セットを買い与えられ、反発するのかと思いきや「お菓子も作って一緒に売っていい?」と甘えた自立を果たしたりする。
自分はモテないと言いながら、なぜか彼氏はいつもイケメン。それなりにゲイライフを楽しんでいる。
なのに、「なんかちょっと合わない」とフェウドアウトしようとしたり、かと思ったら自分がツラい時だけまた呼び出してみたり……。
下世話な噂話も好きで、トムのこじれた恋愛トラブル現場では、「あ、電話だ。この電話が終わるまで、この話ストップさせてくれなあい?」とやじうま根性を見せたりも。
そのいっぽうで、自殺を図った母親には激昂するでもなく、一緒にキャンプに出かけ彼女の問いに素直に真摯に答えたりもするのだ。
ジョッシュがゲイであることもことさら問題視してピックアップするわけではなく、ほかの人たちが持つ悩みやしがらみや個性と同じ「ひとつの要素」として描写。
「特別に難しく考える必要はもしかしたらなくて、それらの解決の糸口には案外共通点があるのかも?」と思わせてくれる。
もうひとつ興味深いのは、肩書や年齢、性別を超えた人のかかわり方だ。
たとえばパートナーとうまくいかなくなったジョッシュの父が、息子の友人トムに話を聞いてもらい慰めてもらったりする。
「支えられる人が支えたらいい」と教えてくれるのだ。
そして、彼らの関係に自分自身の人間関係を重ね、安堵したり不安や焦燥を抱いたりする。
いつの間にか、「あぁ、こうしたらいいんだ」「あの時、こう言ってあげればよかったのか」と、「真似したい生き方」を取り込もうとする自分がそこに。
タイトルの「僕を好きになって」は、恋愛に限らずきっと誰もが抱く思い。
それを叶える方法は、相手を好きになることなのでしょう。このドラマの登場人物たちは、それを知らず知らず習得していく。
その姿を観ながら思えるかもしれない。
「それなら私にもできるかも?」と。
※Netflixで独占配信中。
【予告編】
【視聴リンク】
https://www.netflix.com/title/80008187
内容・あらすじ
大学生のジョッシュは付き合っている彼女クレアに「ゲイなんでしょ」とフラれてしまう。その痛手を感じる間もなく、会社員の友人トムの同僚のイケメンとなんだかいい感じに? いっぽう、精神不安定な母親が自殺を図り、ジョシュは彼女との同居生活を強いられることに…。