世界を旅する無知と無恥
NETFLIX
こんなヤル気のない旅番組、観たことない。
「旅に興味のないイギリス男が世界を旅したら…」という、まさにシニカルな発想から生まれた企画。
発案者は、イギリスのコメディアン、リッキー・ジャーヴェイス。
BBCの「THE OFFICE」が有名だが、私は彼が監督・主演した映画「ウソから始まる恋と仕事の成功術」が好き。
皮肉をピリッと効かせつつも、情のエッセンスを忘れないさじ加減がクセになる。
そんな彼独特の愛情を持って送り出す旅人は、「旅とか、意味がわからない」と笑顔ひとつ見せず言ってのける男カール・ピルキングトン。
「まぁ、行けって言うなら行くけど」的なノリで彼が訪れる国が、これまたエッジが効いている。
中国、インド、ヨルダン…。
「ちょっと変わった国に行ってみたい」というバブル期のOL的チョイスとも言える。
たとえば最初の国の中国編は、私自身の最初の海外旅行地だったので、共感しきり。
町中のトイレに扉がない、飲食店の店頭で食材であろうカエルを解体しているといった「中国の旅カルチャーショック あるある」は序の口。
田舎の民家に入り込んで棺作りを手伝って「死ぬのは怖くない」などといった哲学的なコメントを地元のおばちゃんから引き出すなど、「ちゃんとした旅番組」のナビゲーターを果たしているのだ。
よく「大好きになるか、大嫌いになるか真っ二つに分かれる」と言われるインド編も、なかなかの見応え。
ヒンドゥー教の祭典「マハ・クンブメーラ」では、さまざまな尊師に出会うのだが、彼らはほぼ全裸。
杖におティンティンを巻き付けて鍛えるという荒技まで披露し、私たちの小さな世界観をぶっ壊してくれる。
最近は、若者が海外旅行をしなくなったと言われているけれど、この番組を観せてみるのはどうだろう。
「別に行きたかねぇよ」と言っていた男が徐々に変化してゆくプロセスを笑いながら観るうち、妙な旅心が生まれはしないだろうか。
「社会勉強のために、海外旅行くらい行っておきなよ」などと説教臭く伝えるよりも、よっぽど効果があるかもね。
内容・あらすじ
リッキー・ジャーヴェイスとスティーヴン・マーチャントは、旅番組の製作を企画する。選ばれた「旅人」は、「心は狭いが憎めない男」カール・ピルキングトン。 リッキーとスティーブの指示で訪れる国は、中国、インド、ヨルダン、メキシコ…。シーズン2では日本にも! 世界と出会ったピルキングトンの人生観は、果たして変わるのか!?